海外の資格(インダストリアルハイジニスト)

   

日本の労働衛生管理は、誰でも労働安全衛生法を順守すれば、ある程度の安全な状態を作り出すことができます。この法律は「誰でも管理できる。」という利点がある一方で、手順などが細かく決められているために、場合によっては現場の状況に合わず、結果的に過剰管理になってしまう可能性があります。


その一方で、米国ではばく露の許容量が設定されているものの、ばく露を許容量以下にする方法は特に定められていないそうです。その部分を対応する労働衛生管理の専門家が必要となり、その技術を担保する資格がインダストリアルハイジニストです。彼らは作業の状態を確認し、ばく露の程度が基準に達しそうな場合にだけ個人暴露量測定を行い、その結果に基づいて現場の改善を検討するようです。


日本においても、労働安全衛生法をより柔軟に運用するためには、インダストリアルハイジニストの様な技能を持つ技術者が必要になります。日本作業環境測定協会(以降 日測協)では、それを見越したかどうかは分かりませんが、数年前からインダストリアルハイジニスト(以降 ハイジニスト)の養成に取り組んでいました。最近、その第一回の試験があったようです。


ただし、日測協版のハイジニストを取得するためには高額な講習を何個も受ける必要があり、個人で取得するにはかなり負担が大きいです。その一方で、今のところこの資格は法律で規定されているわけではありません。彼らが得意とする個人暴露量測定も、法律上は作業環境測定には代えられません。


平成22年度に行われていた厚生労働省の委員会の議事録を読む限り、ハイジニストが法律で規定され、より柔軟な労働衛生管理が可能となるのは当分先の話になりそうです。個人暴露量測定を用いた現場改善は労働衛生コンサルタントもやっている事例はあるので、現在(平成22年9月)のところ、ハイジニストを取得するかどうか、様子見を決め込んでいます。もっとも、ハイジニスト養成講習を受講した知人からは「ためになった」という感想を聞いたので、受講される機会がある方は受講したほうがいいと思います。